06/08/2019   /  Diary

「永遠の哲学、あるいは世界の叡智の伝承の核心にある教えによれば、「スピリット」は宇宙に対して自分を空っぽにするまで流し込む、あるいは投げ与える。そして魂を作り、魂が凝縮して心になり、それが凝縮して体になり、それが凝縮して物質になる。こうして物質は最も濃縮したものである。それぞれのレベルは「スピリット」のレベルである。そうではあるが、同時にそれは「スピリット」が降下していく段階である。このプロセスが「内化」であるが、それは工事の段階が、潜在的な可能性として低次の物質の段階に折りたたまれるプロセスである。物質の世界が生まれると(例えばビッグバンによって)、逆のプロセスが起こる。これが進化であり、物質から生物的な身体、そして象徴を操る心、輝く魂、そして純粋な「スピリット」へと進化していく。それぞれの段階はそれ以前の段階を、ただ振り落としたり、否定したりするのではない。それは先行する段階を包括し、その中に抱擁する。原子は分子に、分子は細胞に包括される。細胞はさらに有機体に包括されるだろう。それぞれの段階は後続する段階の部分でありながら、それ自体は一個の全体である。この「部分・全体」の構造を「ホロン」と言う。言い換えれば、進化の展開においては、常に後続する段階は先行する段階を超越しながら、包括するのである。そして「スピリット」はsyべての段階を超越し、包括している。越え、かつ、包み込むのである。この秩序、すなわち「スピリット」は魂を超越しながら包括し、魂は心を、心は体を、体は物質をそれぞれ超越しながら、包括している。この秩序は、しばしば「存在の偉大な連鎖」と呼ばれている。しかし、これはあまり適切でない名前である。それぞれの段階は鎖ではなく、入れ子構造になっているのであり、先行する構造を後続する構造がその中に抱き、包括しているのである。したがって存在の偉大な連鎖とは、実際には存在の偉大なネスト(入れ子)構造なのである。それはハシゴや、鎖や、一方通行の道ではなく、先行する球体をその全体の中に包括しながら、次第に拡大していく同中心的な球体なのだ。」

「こうして、僕の瞑想修行における微細領域の「ツアー」が始まった。この領域を書いたものの中で、最も好きなのはダンテのそれである。請け合ってもよいが、この描写は、すべて比喩的なものはなく文字通りのものなのである。

  この永遠の光を見つめていると/その崇高な光の奥に/ばらばらに散っていたものが/愛の力が一巻の書物にまとめられているのを見た。/さらに、その崇高な光の深く明るい光のなかに/三つの円が現れていて、/ 一つの次元にあるが、虹のように / 二番目の円に最初の円が反射し、/ 最後の円は二つの円から吐きだされる炎のようであった。」

ケン・ウィルバー